北九州・旧松本家住宅訪問
お久しぶりです。すっかりご無沙汰していました。ここまで更新が遅れてしまったことに、とくに理由はないのですが・・・ずいぶんと怠惰な日々を過ごしていたということでしょうか。
これからは心を入れ替えて、もっとこまめに更新できるようがんばります。
さて久々のアップとなる今回は、豪華でアートなネタをご用意してみました。と申しますのは先月末、はるばる福岡県・北九州まで、ある建物を観に行ってきましたので、その見聞録をご紹介いたします。
その建物とは、北九州市の中部・戸畑区にあり、かの地で石炭業を興し明治期に巨万の富を築いた松本健次郎によって、明治41(1908)〜45(1912)年にかけて、家族の住居兼迎賓館として建てられた「旧松本家住宅」。
設計したのは辰野金吾。東京駅や日本銀行本店、旧第一銀行神戸支店(現・神戸市営地下鉄みなと元町駅)などを手がけ、“辰野式”という独自のスタイルを確立したことで知られる、明治期の建築界の巨匠です。
JR戸畑駅からバスで15〜20分ほど行き、やはり前出の松本健次郎が創立したという学校「明治学園」の前のバス停「明治学園前」にて下車。そこから南西を向き、「夜宮公園」という、広々とした丘陵地に広がる公園のなかをしばらく歩くと、お目当ての「旧松本邸」が現れます。
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ちなみに私が訪れた10月30日(土)は、ちょうど「明治学園」の創立100周年ということで記念式典と学園祭が行なわれており、バス停の周りは多くの正装された方々で賑わっていました。
話を「旧松本邸」に戻します。ここはいつ訪れても中に入ることができるわけではなく、春/秋のそれぞれ数日間にわたる公開日のほか、結婚式場として、また当館の管理団体が主催する各種イベント(食事会など)に参加する、などといった場合にのみ、入館することができます。今回私が行ったのは、秋の公開日として設定されていた2日間のうちの1日。
とは申せ、公開日だからといきなり現地を訪問して入場料を払って・・・では、入ることはできません。事前に戸畑区役所の担当課に申し込みをし、許可をいただく必要があります。私も今回、訪問するひと月前に往復はがきを出し、約1週間待ったのち、ようやく観覧OKの返事が届きました。
そうまでして、さらにここ姫路から遠く離れた北九州市まで足を延ばしてまで観たかった理由、それはこの建物の外観、内装、そして家具にいたるまで、日本では非常に稀なアール・ヌーヴォー様式によって統一され、もともと私自身、建物〜絵画〜工芸品などにまでおよぶアール・ヌーヴォー芸術が好きだったから。数年前にある美術書でこの建物のことを見知って強い興味を抱き、以来ずっと訪問のチャンスを待ち続け、今回ようやく自分のスケジュールを空け、旅費もなんとか捻出することができました。
幸い一般公開日中は敷地内・館内はカメラ撮影自由。ではここからは、私が当日撮ってきた画像をご覧いただきながら、この「アール・ヌーヴォーの館」を案内いたしましょう。
まず外観。
堂々としたなかに、随所に曲線を散りばめることで、やわらかな存在感があります。
そして玄関を入ると・・・
色鮮やかな花々が出迎えてくれました。お花だけでなく、下の花台もいい感じ。このお館と同じく、年季が入ってそうですね。
さて内部。
木をふんだんに、かつさまざまな形状へと加工されて使われていることにまず圧倒されます。柱といい壁枠といい、なんとも贅沢な造り。どうやってこんな形に切り出すのでしょうか。
さらにこの館のすごいところは、そこここに様々な“作品”がさりげなく配置され、華やかさを添えていること。たとえば、
これは食堂のドアの上の飾り絵。何と油彩!さらにこうした絵が計5枚掲げられ、それらすべて絵柄が異なっている凝りよう。そして、
こんなステンドグラスも階段の窓にはめ込まれていました。ブドウと雲、鳥による画面構成、そして紫/緑/茶/白の色使いが巧みです。これらを手がけたのは、洋画家・工芸家の和田三造。若年期に描いた油絵「南風」は、学校の美術の教科書にも載っていた記憶があります。ちなみにこの方、こちら兵庫県の出身(現・朝来市)。
さらに、
2階にある和室の暖炉のまわりにはには日本画が。和室の暖炉というだけでもユニークですが、さらにこうした植物画がはめ込まれ、エキセントリックな雰囲気すらあります。これらを描いたのは日本画家、高島北海によるもの。こうした細密な植物画を得意とし、また政府のお役人としての顔も持つ、多芸多才なお人だったとのこと。
あと上でも述べましたが、置かれた家具はもちろんのこと、内部の細かい意匠、さらに据え付けの器具などにも、いちいち凝った細工が施され、建物全体がまるごと芸術作品といった趣でした。以下にいくつか画像を貼っておきます。
さらにこの松本邸には、ここまでご紹介してきた『洋館』のほか、お隣に別棟で『日本館』なる純和風のお屋敷もあるのです。
こちらのほうも見どころ満載だったのですが、同じようにとりあげればさらに長くなってしまうのでやめておきます。ただ、この『日本館』内に掛けられていた一幅の掛け軸が妙に私の心をとらえたので、こちらのみご紹介させてください。
ワシントンヤシの幹と葉の特徴を押さえつつ、うまく画面におさめています。水墨画風のシンプルなタッチも新鮮ですね。作者名は聞いてこなかったのですが、職業柄「こういう見方もあるのか」としばし感心して見とれていました。
いかがでしたか。この魅力溢れる「旧松本邸」の素晴らしさを、本ブログをご覧いただいた皆様にお伝えできれば幸いです。今回は記事アップが久々だったこと、それにいいネタを仕入れたこともあって、文章/画像/リンク、いずれもたっぷりのボリュームでお届けしました。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
なおこれまで長いことお休みしていましたので、その間に他のネタもいろいろ準備しています。ですから年内にあと3回程度の更新ができればと考えていますので、ご期待くださいませ。














